「外出の多い業務なので、みなし労働時間制を導入したい」
「みなし労働時間制を導入していても残業代を支払わなければいけないの」
「労働基準監督署から是正勧告書が届いてしまった」
会社経営において、例えば外出が多いような職種ですと、労働時間の把握を行うのが難しく、会社で労働時間を管理するよりも労働者に管理を任せた方が良いケースもあります。
そのようなケースに対応するために、事前に決められた時間を働いたものと「みなす」、みなし労働時間制が労働基準法によって定められています。
しかし、全ての従業員にこちらの制度を導入することはできず、一定の基準を満たした人にしか導入することはできません。
みなし労働時間制は、主に3つのパターンに分けて考えられます。
① 事業場外労働のみなし労働時間制
これは、出張を行う労働者や、外回りの営業を行うことで、労働時間を正確に算出することが難しい労働者に適用されます。対象者について、事前に決められた時間を働いたとみなすことが許されています。
② 専門業務型裁量労働制
専門業務型裁量労働制では、研究開発業務や士業の業務など、特定の指揮命令下のもとで行うものではない業務が当てはまり、以下の19の業務が当てはまります。
1 新商品若しくは新技術の研究開発又は人文科学若しくは自然科学に関する研究の業務
2 情報処理システムの分析又は設計の業務
3 新聞、出版の事業における記事または放送番組、有線ラジオ放送、有線テレビジョン放送の放送番組の制作の取材または編集の業務
4 衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務
5 放送番組、映画等の制作の事業におけるプロデューサー又はディレクターの業務
6 コピーライターの業務
7 システムコンサルタントの業務
8 インテリアコーディネーターの業務
9 ゲーム用ソフトウェアの創作の業務
10 証券アナリストの業務
11 金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務
12 大学における教授研究の業務(主として研究に従事するものに限る。)
13 公認会計士の業務
14 弁護士の業務
15 建築士(一級建築士、二級建築士及び木造建築士)の業務
16 不動産鑑定士の業務
17 弁理士の業務
18 税理士の業務
19 中小企業診断士の業務
③ 企画業務型裁量労働制
企画業務型裁量労働制では、企画立案や調査を行う業務を行う労働者を対象としたもので、②に当てはまらない職種に該当するものです。ただ、恣意的に企画業務型裁量労働制を導入することはできず、②よりも厳格な手続きが必要です。
もっとも、みなし労働時間制を導入した場合であっても、所定労働時間を超過すれば、残業代は支給しなければなりません。また、休日や深夜の割増手当も発生いたします。
制度は慎重に導入することが肝要です。初回相談料は無料ですので、制度導入の可否等について、お気軽にご相談ください。