社会がかつてないほど多様化・複雑化し,それにともなって企業を取り巻く法的リスクも日々変動していく中,紛争が生じていなくても弁護士と顧問契約を締結し,リスクマネジメントに取り組む企業は増えています。

 企業にとって顧問弁護士が存在するということは,自社の法的な問題等を日常的に迅速に相談でき,企業活動を安心しておこなえるという大きなメリットがあります。

 もっとも,自社のニーズと合わない弁護士を顧問弁護士として選んでしまっては意味がありません。そこで、ここでは顧問弁護士の選び方のポイントをお教えしましょう。

 企業法務活動の経験がどの程度あるか。

 顧問弁護士を選ぶ際,まず最初に確認していただきたいのは,企業法務に関する経験がどの程度あるか,という点です。

 CMや広告に積極的に取り組み,知名度があって事務所に所属する弁護士数が多い事務所の場合,一般的には消費者を対象とした活動をおこなっているため,法的な専門知識を活用して日常的な法律相談は十分対応できると思われます。

 しかし,企業法務については,単に法的な専門知識だけでは十分な対応ができません。

 企業法務においては企業活動の中に潜む法的なリスクを予防することが重要ですが,そのためには様々な企業法務の案件に関する経験や企業活動そのものへの理解が不可欠です。

 そこで,顧問弁護士を選ぶ際,企業法務に関して十分な経験と実績を持ち,企業活動に寄り添った対応ができる弁護士かどうかをポイントにしましょう。

 そのうえで,その弁護士のこれまでの経験を語ってもらい,どのようなサービスを自社に提供できるのか説明してもらいましょう。その受け答えによって,おのずとその弁護士が自社の顧問弁護士にふさわしいかは判断できることと思います。

コミュニケーションがスムーズにとれるか。

 顧問弁護士を選ぶもう一つの基準は,円滑なコミュニケーションが図れるかどうかです。

 そのためには①顧問弁護士の説明がわかりやすいものかどうか,②レスポンスが適切かどうか,③コミュニケーション手段がどの程度あるか,をポイントにしていただければと思います。

 まず,①説明のわかりやすさですが,難解で複雑な法律問題をわかりやすい表現で説明する能力は弁護士としては必須の能力といえます。

 しかしながら,わかりやすい説明ができず,理解できないのは依頼者側に問題があるかのように対応する弁護士も存在します。そのような場合,依頼者側には何の落ち度もなく,ただ単に弁護士の説明の仕方に問題があるだけです。そのため,顧問弁護士を検討する最初の段階で説明がわかりにくい場合,そうした弁護士はコミュニケーションが十分図れない可能性があるため,慎重に判断していただければと思います。

 次に②レスポンスが適切かどうかですが,ビジネスの場面では,ある程度のスピードが求められる場面も多いため,レスポンスが適切なタイミングでなされるかは重要です。

 多くのクライアントを抱えている弁護士は,一般的に多忙なので今からすぐに相談したいという要望に応えるのが難しい場合があるかもしれません。そのような場合であっても貴社のために顧問弁護士としてレスポンスが早めに返ってくるかどうか,親身になって対応してくれるかがポイントです。

 また,顧問弁護士のレスポンスとして「親身さ」も重要な要素です。

 顧問弁護士の最大のメリットは,弁護士との間で継続的な関係を築くことです。「数多くいる顧客のうちの1社」であるかのような関係しか築けないのであれば,ほんとうにその弁護士を顧問弁護士とする必要があるのか慎重に判断していただければと思います。

顧問料とサービス範囲は適切か

 顧問弁護士の顧問料は一律ではなく,各法律事務所によって異なります。

 企業法務を手掛ける法律事務所の多くは,会社の規模やサービス範囲によって複数の顧問契約プランを用意しています。

 以前は日本弁護士連合会の報酬基準規定において事業者向けの弁護士顧問料の最低金額は月額5万円と定められていたことから,今でも月額の最低料金を5万円と設定している法律事務所が多いと思われます。

 その一方で近時は月額1万円といった極めて安い顧問料を提案している法律事務所もあります。もっともこのような顧問サービスの内容を精査すると,顧問料の範囲内で受けられるサービスの範囲は限られており,範囲外の依頼をすると追加料金がかかるという料金システムになっている場合が多いのが実情です。

 そのような場合には顧問弁護士への依頼内容によっては、かえって支払う弁護士費用の総額としては高くなることも考えられます。

 これまで顧問弁護士に依頼されたことがなく,また法務にかけることができる予算が少ないことから顧問料はできる限り安く抑えたいと思われる方も多いかと思います。

しかしながら顧問料の多寡だけではなく、顧問料の範囲内で受けられるサービスの範囲も必ず確認することが大切です。

戦略的な提案ができるか。

 以上のことを踏まえれば,ほぼ間違いなく適切な顧問弁護士選びができると思います。

 しかし,さらに一歩進めて「戦略的な提案ができるか」という要素を検討してみてはいかがでしょうか。

 弁護士の法律相談の実情として「直面している問題」の解決のための回答で終わることが多いのですが,「直面している問題」を題材にして,類似の問題が将来生じないような積極的な提案があったら,いかがでしょうか。

 経験の豊富な弁護士であれば,これまでの経験に照らして,「直面している問題」が生じた原因や,その原因が放置された場合に生じるリスクがわかります。

 顧問弁護士からの戦略的な提案を生かして,自社に存在する法的リスクをなくすことができれば,自社のさらなる発展を望むことができるでしょう。

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 当事務所では、愛媛県内を中心に数多くの業種、企業さまの顧問弁護士を務めております。使用者側に特化し、企業法務の経験実績も多数積んでおりますので、弁護士との顧問契約を検討されている経営者の方は一度、ご相談ください。

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